北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)マテリアルサイエンス研究科の川上勝准教授が、3D印刷技術を用いた新たなタンパク質分子模型作製技術を開発した。
川上准教授は、カラー素材でデータを出力できる3Dプリント技術を応用しタンパク質の骨格構造が透明なシリコーン樹脂で覆われた分子模型を開発した。この模型は柔らかく丈夫なシリコン樹脂でできているため、タンパク質模型を変形させて表面の「くぼみ」に薬剤分子模型をはめこんだり、模型同士を合体させて巨大な複合体を形成させるといった、これまでPC内で仮想的に行っていたシミュレーションを立体的な模型で行うことができ、教育や研究の現場での教材、ディスカッションツールとして活用されることが期待できるという。川上准教授は、従来のフルカラー3Dプリント技術に、「消失(破壊)型鋳型」というアイデアを加え、タンパク質の「折れたたみ(主鎖構造)の3Dデータ」に分子表面の形を元にした卵の殻のような「鋳型3Dデータ」を融合させ、これをフルカラーで立体印刷した後に、柔らかく透明なシリコーン樹脂を鋳型内部に充填し、固化後に鋳型を破壊するという手法を考案した。この成果は近日中に米国物理学協会発行の「Review of Scientific Instruments」誌に掲載されるという。