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【特別寄稿】「ハンゲーム」の10年 ~アバターサービスの過去・現在・未来~(前編)

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2000年のサービス開始から今年で10年目を迎えたハンゲーム。
日本における仮想空間ビジネスの黎明期にいち早く市場に参入し、社員7名でスタートしたハンゲームは現在、累計登録会員数3,553万ID、総ゲーム数229タイトル、提供アバターアイテム数約7万6,000点を誇る日本有数のインターネットゲームポータルサイトへと成長しました。

ハンゲームがサービス開始から10年を迎える節目の機会に、今回THE SECOND TIMES編集部様より「ハンゲームの歴史を物語る上で大きな役割を担ってきたアバターサービスを紹介してみてはどうか」という有難いお話を頂戴し、今回、寄稿という形で書かせていただくこととなりました。拙文ではありますが、どうぞよろしくお願いいたします。
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●ビジネスモデルがないままサービスを開始したハンゲーム
ハンゲームは、韓国最大のインターネット企業NHN Corporationの日本法人であるNHN Japan株式会社が運営しています。
NHN Corporationは今でこそ韓国を代表するインターネット企業として有名となりましたが、韓国でHangameのサービスを開始したばかりの頃は、今のような明確なビジネスモデルをまだ確立していませんでした。しかし収益が安定していない創業期であっても、日本市場がいよいよ本格的なブロードバンド時代を迎えようとしている状況を鑑み、 けして余裕がある状態ではなかったのですが2000年11月、日本でもハンゲーム(以下韓国のハンゲームを「Hangame」、日本のハンゲームを「ハンゲーム」と記します)のサービスを開始しました。
日本でサービスを開始したばかりのハンゲームは、数種類の無料ゲームとアバターおよび簡単なコミュニティ機能を提供するシンプルな構成で、これといった大きな特長を持たないゲームサイトでした。韓国同様にこの時点では明確なビジネスモデルや収益化に向けた道筋はなく、この先どのようにして事業を継続するのかはサービスを運営しながら模索せざるを得ない状況でした。
●手探りの状況のなかB to B ビジネスをスタート
ハンゲームのサービスを開始した2000年当時、日本ではインターネット
ゲームサイトとしてB to Cビジネスを成功させているところはほとんどなく、ハンゲームでもこの先どのようにして収益化を実現していくのか検討する日々が続きました。また知名度の無さなどから集客面でも苦戦していました。
この頃の日本はインターネットビジネスの黎明期で、インターネット上で楽しめるコンテンツが市場全体で不足している状況でした。そこで私たちは、当初想定していたB to Cビジネスをいったんあきらめ、優良なコンテンツを探していたISPや大手ポータルサイトなどに対しハンゲームを提供するASP事業と、ネットカフェ事業者様へライセンスを提供する2つのB to Bビジネスに着手することになりました。
この2つの事業は、収益の確保を目的としてスタートしたのですが
結果的に収益上のメリットよりもハンゲームの認知が広がるメリットの方が
大きくなり、次第にハンゲームに訪れるユーザが増えるきっかけとなりました。
【特別寄稿】「ハンゲーム」の10年 ~アバターサービスの過去・現在・未来~(前編)
2000年当時のハンゲーム(左) 現在のハンゲーム(右)
●ゲームサイトの中のコミュニティ 
ASP事業とネットカフェ事業者様へのライセンス提供事業によって、少しずつユーザが集まるようになってきたハンゲームですが、この頃ハンゲームに訪れているユーザを観察していると、ゲームを遊んでいるユーザに加えて、他のユーザとゲームロビーやミニメールなどで交流を楽しんでいるユーザがかなり多いことに気づきました。
これは、当時韓国ではゲームサイトといえば「誰かと対戦する場」という認識が一般的だったのに対して、日本ではゲームサイトを「コミュニケーションの場」としても使われているという非常に大きな発見でした。
この発見を踏まえ、これまで行ってきたB to Bビジネスだけでは収益の最大化に限界があることなどから、本来私たちが想定していたB to Cビジネスへ転換するためにゲームという切り口の他に、コミュニティという切り口も加えてビジネスモデルを改めて模索することとなりました。
【特別寄稿】「ハンゲーム」の10年 ~アバターサービスの過去・現在・未来~(前編)
2000年当時のゲーム画面(左) 現在のゲーム画面(右)
●1つの仮説とアバタービジネスへの挑戦
コミュニティという切り口が加わったことにより、日本のユーザが好むコミュニケーションとは何か、またそれを実現するためにはどんなサービスが必要かを検討し、まずはユーザ同士がつながる楽しさを実感していただけるよう、チャットやサークルなどのコミュニティサービスを拡充しました。
コミュニティという切り口で様々なB to Cビジネスモデルを検討しているうちに、
アバタービジネスが有力な候補として浮上しました。これは「コミュニケーション手段の限定された仮想空間ではアバターはより重要な意味を持ち、自分に特化されたサービスは仮に有料化してもユーザのご理解が得られるのではないか」というものです。
私たちはこの仮説をもとに2002年、アバターアイテムの有料化に向けて動き始めました。
しかし当時アバターのようなデジタルコンテンツの有料化を日本国内で行っているところはなく、文字通り手探り状態での船出となりました。例えばアバターアイテムの価格設定を行う際参考にできるものがなかったこともその1つです。アバターアイテムの価格については、社内で相当の議論を重ねた結果、最終的には「小学生のお小遣いでも購入できる」をひとつのキーワードに価格を設定しました。
期待よりも不安が大きいなか迎えたアバターアイテムの有料販売当日。初日の売り上げは91万円を記録し、結果的に仮説どおり、非常にたくさんのユーザからご支持をいただくことができました。この出来事は、私たちにとって日本でのアバタービジネスの可能性を実感した瞬間でした。
【特別寄稿】「ハンゲーム」の10年 ~アバターサービスの過去・現在・未来~(前編)
ハンゲームは、この経験をもとにさらなるアバターサービス、コミュニティサービスの充実を求めて様々な活動を展開することになります。(次回につづく) 
(文:能登誉/佐野裕)

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