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【CEDEC 2009レポート】バーチャル・コミュニティ・サービス「Blue Mars」で描く未来

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今回のCEDECにおける”仮想世界業界”的な目玉セッションに、”テラフォーミング”(人為的に惑星の環境を変化させて人が住めるようにすること)された「蒼い火星」がモチーフの超美麗3D仮想空間「Blue Mars」についての講演があった。

これまで「Blue Mars」は、昨年9月にL.A.で開催された「Virtual Worlds Conference and Expo」や今年3月にN.Y.で開催された「Engage! Expo」などの海外の仮想世界系・ゲーム系イベントで発表されることはあっても、日本国内のイベントで発表されることは無かった。また、今回のセッションはちょうどオープンβテストの時期と重なっていたこともあり、セッション会場には新たな仮想空間に興味のある参加者が多数集まった。
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「Blue Mars」は、かつてスクウェアで「ファイナルファンタジー7」の3DCGスーパーバイザーやSquareUSAのCTOを務めた橋本和幸氏が率いるAvatar Reality社が開発・運営する仮想空間。Avatar Reality社はアメリカ・ハワイ州ホノルルに拠点を置くベンチャー企業で、現在社員は日本人・アメリカ人合わせて24名。Blue Marsの開発のみを行っている。
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Blue Marsの大きな特徴は、ドイツのCrytek社のゲームエンジン「CryEngine2」を使用した美しいグラフィックで、従来の3D仮想空間に比べ遥かにハイクオリティな空間を楽しめる。しかしそれだけがBlue Marsの見どころではなく、本来の特性…というか目的は3DCGクリエイターの作品を正々堂々と流通させる「UGCプラットフォーム」としての仮想空間だ。既に国内外に多くの3DCGクリエイターがいるが、正直3DCG作品だけで生活していくのは大変だ。そこで、3DCG作品を「仮想アイテム」にして直接消費者に販売し、仮想通貨の少額決済で収益化をするのに適した場所が「仮想空間」というわけだ。しかし初期のセカンドライフのように完全に自由にしてしまうと、後々著作権や盗作の問題が発生する。そこでBlue Marsでは、クリエイターとディベロッパー契約する方式を採用している。高橋氏曰く「セカンドライフに感じた不満がBlue Mars開発のきっかけ」だったという。
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そして一般公開されたBlue Marsのインワールドの様子が披露された。この日オープンβテストが始まったばかりだというのに、本国アメリカやヨーロッパのテスターだろうか、スタート地点にはたくさんのアバターが集まり思い思いにチャットで会話をしたりアニメーションを再生したりと賑わいを見せていた。
尚、オープンβからの変更点として、クローズドβテスト時には女性バージョンばかりだったアバターに男性バージョンが追加された。
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もちろんチャットは日本語にも対応している。
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まだ街にショップは無いが年内にはショップ機能及び課金システムが実装される予定。現在はデモバージョンのショップと商品が公開されている。商品は購入前に360°全方向から見て確認することも可能。
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またBlue Marsでは仮想アイテムだけでなくオリジナルのゲームも作って公開できるソーシャルゲームプラットフォームとしての性格もある。こちらは現実のゴルフに限りなく近づけて作られたゴルフゲーム。ちなみに開発費用は見た目よりもかなり低く、氏によれば「Flashゲームの開発費用と同じくらい」で作れるのだという。
尚、Blue Marsでは仮想アイテム、ゲームのディベロッパーのほかに、惑星内の地域そのものを開発する「地域開発ディベロッパー」も募集している。既に映画のCGも担当しているアメリカの企業が参加し街を開発中とのことで、この”地域開発ディベロッパー”が増えるほど多種多様な街が増え、Blue Mars自体が楽しい空間となっていく。現在Blue Marsの公式サイトは英語表記のみだが、臆することなく是非日本国内のクリエイターや企業も参加してみてほしい。
Blue Mars
http://www.bluemarsonline.com/
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