【レポート】「コミュニティ・プラットフォームとはなにか」(1)

   2011/04/01

7月30日(木)、文京学院大学にてブロードバンド推進協議会 ゲーム&コミュニティサービス・ワーキンググループ主催のオープンセミナー「コミュニティ・プラットフォームとはなにか」が開催された。

同セミナーは「コミュニティ・プラットフォームがもたらすパラダイムシフト」と題した全3回シリーズの第一回目(第2回は9月10日に、第3は11月に予定されている)。今回のゲストはフィギュアSNS「fg」や3DCG SNS「cg」などを運営する株式会社エンタースフィア代表の岡本基氏と、3Dアバターを提供する株式会社Any代表の畑野仁一氏のお二人。前半に両者の講演が行われ、後半にはフリーディスカッション形式での意見交換が行われた。
■コミュニティで今、何が起きているか
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最初に登壇したエンタースフィアの岡本氏は、任天堂で「Wii Fit」などの開発に携わったのち2008年5月に独立。現在オンラインゲームとネットサービスの企画、開発、運営など行い、前述のフィギュアSNS「fg」や3DCG SNS「cg」などを運営している。また6月にはアニメや漫画、小説の舞台となった地域・スポットを訪問する”聖地巡礼”の思い出を共有するSNS「まいすぽ」もオープンした。
岡本氏はまず動画共有サイト「ニコニコ動画」やイラスト専門SNS「pixiv」のユーザー数増加やSNS「GREE」と料理レシピコミュニティサイト「クックパッド」の上場を例に挙げ、SNSが事業として認められてきたことを示した。特に最近はmixiなどの総合的な「大規模SNS」ではなく、テーマが限定されUGC(user-generated content:一般ユーザーが作るコンテンツの総称)を核とした「特化型SNS」がマネタイズできるようになってきているという。
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また最近では、こうしたUGCサイトでの公式コンテンツとのコラボレーション事例や、ユーザーの二次創作が”一次創作”になる流れが出来つつあるとのこと。昔は二次創作というと「著作権者の敵」と言われたこともあったが今ではそれも変わりつつあり、またユーザーによる純粋なオリジナル作品も増えてきた。例えばニコニコ動画からメジャーデビューを果たしたアーティストが出てきたり、pixivに投稿されたイラストからフィギュアや画集が作られたりと、UGCサイトが「新しい才能の発掘の場」としての役割を果たした事例も見られる。氏は「版権元は立場上UGCサイトをやりたくてもやれない事情がある。ユーザーもなんとなく敷居が高いようで、版権元が運営したSNSが上手くいった例はあまりない。一方、ユーザーとダイレクトに繋がっているUGCサイトには多くの作品が集まるが、「編集者」にあたるスタッフがいないため集まった作品を取り上げる力がない。なので版権元とUGCサイトが協力すればお互いの役割を補完できるのではないか」と語り、版権元(オフィシャル)とUGCサイトの連携事例が増える可能性を示した。
また氏は、UGCサイトの”使命”を「ユーザーの作ったコンテンツのアウトプット先を増やすこと」と定義。「サイトに集まったコンテンツをもっと活躍させてあげたい。そのための場所を作るために様々な”提携”を行っていくことが重要だろう。二次創作は版権問題の調整が必要だが、何か新しい仕組みを作る価値はある」と語った。
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続いて氏は、UGCサイトを運営するうえで問題になりやすい要素である”評価システム”(作品に「☆」を付けて評価するシステム)について言及。UGCサイトにはユーザー同士が作品を評価し合えるシステムがあるが、これに対しユーザーの中に「新たな価値」が生まれてしまう。評価の「☆」をいくら貰ったところで換金できるわけでもなく、ランキング上位になっても実生活には何の影響もないのに、なぜかユーザーは「☆」の獲得に執着するようになる。氏はこの現象を「スター経済」と命名。ちなみに「はてな」が最近「カラースター」という通常のはてなの黄色い星の色違いバージョンの販売を開始したそうだが、これがなかなか好調らしい。
【レポート】「コミュニティ・プラットフォームとはなにか」
https://www.hatena.ne.jp/shop/star
↑こちらが「カラースター」。赤・青・緑の3色ありそれぞれ”レア度”が違う。
氏はこれを「本来一円の価値もなかったスター経済がリアルの経済になった面白い例」と語ったが、これはオンラインゲームや仮想世界での「仮想アイテム」(アイテム課金)に相当するものだろう。
これを踏まえて氏は”人がお金を払う理由”として「効用」「コンテンツ」「実体物」「ソーシャル性」「レアリティ(希少性)」の5項目を挙げ、これらのバランスで商品の価値が決まると分析。特にレアリティは重要な要素で、「無限に売ってしまうと誰も買ってくれなくなるのでよくない。”限定”がないと物の価値が上がっていかない」のだという。これは現実世界でも同じで、例えばコミケで販売されている同人誌は市販の書籍よりずっとページが少ないのに値段は4~5倍もする。これは個人が小部数しか印刷しないので1冊あたりの価格が割高になってしまうという事情もあるが、やはり「ここでしか買えない」「この人からしか買えない」という「レアリティ」の表れもあるだろう。
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最後に氏は、mixi年賀状(自分のマイミクに実際に年賀状が送れるサービス)やpixivフェスタ(pixivが原宿デザインフェスタギャラリーで開催した展覧会)を例に挙げ、「現在ネット産業の人々はネットとリアルの接点を求めている。ネットとリアルの相乗効果で世の中がさらに楽しいものになるだろう」と分析した。
株式会社エンタースフィア
http://www.entersphere.co.jp/
(2)へ続く
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