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【独占インタビュー】バイオハザード5も対応!「ゲームユーザーのコミュニティを目指す」PlayStation Home(3/3)

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(2)から続く
「バイオハザード5のキモとなる新機能のひとつに2人で協力してゲームを進める『Co-opモード』があります。これがPS Homeの『ゲームローンチ』機能に対応したことで、PS Home内から直接バイオハザード5を起動して遊ぶことができるようになりました。これはPS Homeだからこその楽しみ方です。」(金丸氏)

Co-opモードは2人で一緒にプレイできるのが魅力だが、一緒にプレイする人がいなければその面白さを味わうことはできない。そこで、PS Home内にバイオハザード5の世界観を再現したラウンジを設置した。すると、そこにはバイオハザード5のユーザーコミュニティが自然にできることになる。ゲームローンチ機能によって、そこで会ったユーザーとそのまま一緒にバイオハザード5で遊ぶことができるのだ。
「PS Homeの話をカプコン様にした時、(バイオハザード5のプロデューサーである)竹内(潤)さんはPS Homeの使い方についてすぐにピンと来たようです。そこはトップクリエイターのすごさだと思いました。世界的に有名なタイトルとの連携によってほぼ世界同時に情報発信でき、PS Homeの存在をさらに広められたと感じています。」(桜井氏)
バイオハザード5も対応!「ゲームユーザーのコミュニティを目指す」PlayStation Home
桜井哲郎氏
「また、カプコン様とこうした取り組みを行ったことで『PS Homeでこういうことができるんだ』ということが示せたのは大きいですね。」(赤川氏)
このようにPS Homeにはコミュニケーションによるユーザーマッチングの仕組みがすでにある。これまでのオンラインゲームはそうした仕組みを独自に提供しているものが多かったが、PS3ではその機能をPS Homeが担うことができるのだ。しかも、1つのゲーム内でのユーザーマッチングだけでなく、PS Homeには多くのゲームタイトルのユーザーがいるため、ゲームメーカーにとっても新たなユーザーを獲得できる機会になる。
PCベースのネット分野では、コンテンツ提供者がFacebookやTwitterなど既にあるユーザーの繋がり(ソーシャルグラフ)を利用してコンテンツを広める方法が普及し始めているが、PS Homeの位置づけもこの動きに沿ったものといえるだろう。
ところで、海外のPS Homeでは清涼飲料水メーカーやファッションブランドとのタイアップなどゲーム以外の分野との連携も見られるが、日本でも他分野との連携はあるのだろうか。
「いろいろお話をいただいているのは確かでして、海外のPS Homeで実施されている(清涼飲料水メーカーの)Red Bull社の飛行機レースゲームのように、ノンゲームでもゲーム寄りなものは試みとしてあるかもしれません。しかし最初にお話した通り『ゲームユーザーのコミュニティを目指す』という目的に変わりはありません。したがって、現在はまずゲームメーカー様とのコラボレーションを進めています。」(赤川氏)
その言葉には日本のPS Homeの方向性に対する確信が感じられた。赤川氏は「まずはゲームユーザーを最大限満足させることに注力し、ユーザーの方々が楽しんで頂く空間を構築し、その中で更なる次の展開を考えていきたい」と語る。
■通りがかり効果と共通体験
PS Homeには3D仮想空間を利用した他のサービスと大きく異なる点がひとつある。それはハードウエアがPS3というゲーム機で展開されているという点だ。これによってPCベースのサービスで課題となる「グラフィック機能のスペック」や「操作性」の大部分が解決されている。PS Homeはそうした課題を解決した後の世界を垣間見させてくれる。
「PS Homeには、始めてオンライン空間に入ってくるライトなユーザーの方々が多いような気がします。PS3を買った後、まずPS Homeに入って『PS3でなにができるんですか?』と聞いている人もいるくらいです(笑)」(金丸氏)
ライトユーザーがPS Homeを楽しんでいるという実感は様々なところで感じられるという。
「こうしたネットを通じてコミュニケーションを取るという行動が日常化してきている印象です。それに(キーボードやマウスではなく)PS3のコントローラーで操作するというところもいいんでしょうね。」(桜井氏)
「3D空間でのコミュニケーションは初めてでもネットはやっている人は多いので、PS Homeというものに対する垣根はないようです。」(赤川氏)
会話も「本当に普通の日常会話をしている」(金丸氏)という。実際にPS Home内に入ってみると、昼も夜も結構な数の人がいることがわかる。既にテレビにつながっていてコントローラーでできるという手軽さが効を奏しているようだ。
そして手軽さによって3D空間のもうひとつの効果も見えてきた。
「PS Home内では広場の大きなスクリーンでゲームのプロモーション映像などを流しているのですが、例えば、たまたま通りがかったことでファイナルファンタジーⅩⅢ(FFⅩⅢ)のムービーを初めて見たという人もいるんですね。すると、(ダウンロードサービスの)PlayStation Storeでも同じムービーをダウンロードできるということをユーザーの方々同士で教えあうというようなことが起きています。」(桜井氏)
バイオハザード5も対応!「ゲームユーザーのコミュニティを目指す」PlayStation Home
FFⅩⅢのムービーをダウンロードできるということはコアなユーザーであれば知っているが、これまでそうした情報はなかなかその他のライトユーザーに伝わらなかった。PS Homeでは「たまたま見る」ことでコンテンツに触れる機会を提供できる。
もちろん、その効果は情報伝達だけではない。スクリーン付近ではユーザー同士が「FFⅩⅢのムービーを流すとFF関連の話をしている」(桜井氏)というように、コミュニケーションのきっかけを与える役割もできているという。こうしたユーザー同士のコミュニケーションはユーザーの興味をより掘り下げることにつながる。
「PS Homeであれば(ムービーファイルの)ダウンロードの手間が無く、見ているだけでいいので楽というメリットもありますね。みんなが足を止めて、その話題について話している。それがPS Homeでやりたかったことのひとつです。」(金丸氏)
赤川氏は「単に情報として知るのではなく、誰かから聞くことで『ちょっと行ってみようか』と行動を起こすという、普段の生活と同じようなことが起こっている」と話す。
「これは『なぜ3Dでやってるんだ』『なぜアバターでやるんだ』という問いへのひとつの答えだと思うんですよね。実世界でも人から話を聞いて『じゃあ行ってみよう』ということがありますが、テキストでのコミュニケーションに比べて、PS Homeはそれ以上に人同士のコミュニケーションであるという感覚があります。ムービーをダウンロードして(ひとりでも)観られるけど、みんなでPS Homeのスクリーンでムービーを見ることで大切な共通体験になっている。いいものであればあるほど『いっしょに観たい』という意識が働くのだと思います。」(赤川氏)
PS Homeには、ハードウエアや操作性のハードルが低く、手軽に始められることで「通りがかり」に知るという効果をより発揮しやすい環境がある。これによってライトユーザーへの認知と、他ユーザーとのコミュニケーションによる動機強化がうまく図れれば、ユーザーに対してもより納得感の高い情報を提供できるだろう。
「ゲームラウンジ」「ホームリワード」「ゲームローンチ」。これらの機能はつまるところユーザーの共通体験を作り出す仕組みだといえる。PS Homeはゲームそれ自体の価値に共通体験という大きな価値を加えるものとなりそうだ。
■PlayStation Home
http://playstationhome.jp/

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