【メタバースフォーラム】日本初の試み、セカンドライフの中からリアル会場へ向けての講演

 

メタバースフォーラムには、生身の人間の講演者だけではなくセカンドライフ内からアバターの講演者も登場した。それが「仮想世界における公共交通機関の必要性と実装に向けての考察」と題した講演を行ったTomo Whitfield氏だ。この試みは日本初、もしかしたら世界初となるもので、音声など若干の問題はあったもののほぼ滞りなく行われ、新たな講演スタイルの可能性を示すものとなった。

尚、Tomo Whitfield氏は普段インワールドでは子供のアバターで活動しているとのことで、そのキャラクター性を大事にしたいとの意向から、講演はセカンドライフテレビ局「VWBC」のアナウンサーとして活動しているRYEKA Voom氏が代読を行った。
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氏はまず、セカンドライフの移動手段である「テレポート(瞬間移動)」と現実世界での移動を対比。行きたいところにすぐにテレポートできるのはセカンドライフの利点の一つだが、その長所が「移動という行動そのものを楽しむことができない」という短所にもなっている点を指摘。
そこで氏は、”楽しめる移動”を提供するためまず最初にバスを作成したという。
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すると、セカンドライフにおいて高額な価格設定をしたにも関わらず非常によく売れ、実際に乗ってみたユーザーからも好評を得ることができたとのこと。しかしバスは運転手がいなければ動かせないので、24時間常に運行させることができない。
そこで氏は、移動そのものを楽しむ交通機関として「鉄道」を提案。鉄道ならば元々それ自体を趣味にしている「鉄道マニア」も多くおり、線路上を自動的に運行させることができる。さらにセカンドライフなら一般的な電車から豪華な長距離列車、さらに今は使用されていない蒸気機関車までどんな列車も再現することが可能。そして、それに乗って駅弁を食べたり一緒に乗っている他のユーザーと交流したり、実際に旅をして楽しむこともできる。
氏は仮想世界に鉄道を導入する効果として、新たな楽しみやコミュニティの創出・拡大と共に、「鉄道」を通して実際の都市計画のように街作りや人の流れを計画しやすくなる点や、時代や地域を演出できる点を挙げた。
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しかし実際にセカンドライフ内で鉄道を作るとなると、物理やスクリプトの問題から様々な困難がある。たとえば、車両同士を「連結」して走行させようとするだけでも、物理の反発が作用して思うようにいかない。その様子を氏は実際にその場でオブジェクトを出して実演してみせた。このようなことができるのは仮想世界の中からの講演ならではと言えるだろう。
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そして、セカンドライフでは車両を連結して走行させることは不可能に近く、それを解決するためには「非物理オブジェクト」で車両を作り、それらの同期をとって連結しているかのように見せて走行させること、そのためには車両同士が速度や方向などの情報を伝え合いながら走る機能が必要となることを解説した。
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また氏はこれらと合わせ、鉄道の標準化の必要性についても訴えた。氏は自分が製作した車両を別のクリエイターが製作した駅に置いてみたそうだが、レールの幅やホームと車両との距離、また車両の長さとホームの長さなどが全くかみ合わなかったとのこと。
現在セカンドライフ内の鉄道は、それぞれのSIM内でそれぞれの規格で運用されているが、今後はSIMを越えた鉄道を実現しようとするオーナーも登場してくることが考えられる。氏はそれを踏まえ、鉄道を実現する方式を標準化すれば、鉄道の導入が簡単になるだけでなく、複数のクリエイターが製作した線路や車両を組み合わせて運用したり、隣接するSIM間で複数の鉄道の相互乗り入れを実現したり、鉄道アイテムの販売や線路の敷設サービス、鉄道全体のコーディネイトなど新たなビジネスの創出も可能になるだろうと可能性を語った。
今後、仮想世界は複数のサービスが標準化し相互乗り入れが可能となる「マルチバース」に進化していくことが考えられる。その際、鉄道に使える様々な機能が標準化されマルチバース仕様になっていれば、将来的には違う仮想世界から違う仮想世界へと”列車旅行”ができるようになるかもしれない。
最後に氏は、その際の標準仕様の制定も視野に入れ、今後も研究を継続していくと抱負を述べ講演を締めくくった。
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