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【VWCE in L.A.レポート】「現在の仮想世界はオタク向け」---Electric Sheep Company CEOが基調講演で語る

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【VWCE in L.A.レポート】「現在の仮想世界はオタク向け」---Electric Sheep Company CEOが基調講演で語る

9月3日(水)〜4日(木)(現地時間)アメリカ・ロサンゼルスで開催された「Virtual Worlds Conference&Expo」のオープニングに、主要な仮想世界ディベロッパー企業の一つであるElectric Sheep CompanyのCEO・Sibley Verbeck氏が登壇し基調講演を行った。尚、氏は昨年開催された「Virtual World Summit 2007」で来日しているのでご存知の方もいるだろう。

まず講演冒頭、氏は「ここに1996年に開催されたイベント『Avater Summit』に参加していたという人はいますか?」と参加者に問いかけ、挙手を促した。ところが、立ち見が出るほど満員の場内で挙手をした人はたった一人しかいなかった。それを受け氏は、実はこの仮想世界業界は80年代頃からあった、意外にも歴史ある業界であることを説明。当時、「Lucasfilm's Habitat」のようなオンラインチャットに姿を与えた「アバターチャット」の延長としての仮想世界がたくさんあったという。

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Lucasfilm's Habitat

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しかし、その頃から今まで仮想世界に関わり続け、このVirtual World Conference&Expoに来ている人はほとんどおらず、当時のサービスもActive Worldsを残し全て無くなってしまった。もっとも、当時はブロードバンド環境からはほど遠い時だったためグラフィックがあまり良いものではなかったこともあるが、やはり一般人に広めるにはまだ難し過ぎ、時代を先取りし過ぎてしまったためだろう。インターネット黎明期において仮想世界は出てくるのがまだ早かったのだ。

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これを踏まえ、氏は「現在我々は2つの選択に迫られている。それは、子供の成長に合わせた仮想世界を作るか、それともギーク(技術系オタク)の要求を満たす仮想世界を作るかだ。」と語り、これを「Multi Global War on Geekings」と表現。そして、現在の3D仮想世界は子供も含む多くのユーザーが期待しているサービスに比べギーク(オタク)向け過ぎると分析した。

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さらに氏は、現在勢いのある子供・若者向けの仮想世界は、このこのVirtual World Conference&Expoに来るような人々(つまりギーク)の間からは生み出されていない。むしろカジュアルゲームといった「ゲーム業界」から生まれてきている点を指摘。技術的なことにばかり固執せず、マウスだけで簡単に誰でも操作できる仮想世界を生み出し世に広めなければ、仮想世界を教育分野や日常的な買い物などに利用する時代は訪れないだろうと指摘し講演を締めくくった。

Electric Sheep Company
http://www.electricsheepcompany.com/

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