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【独占インタビュー】セカンドライフの「施工」を自動化!「アイランド・ビルダー」で制作はこう変わる。

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株式会社ティーカップ・コミュニケーションは1997年、代表取締役社長の石川智之氏がIBM在職中に始めた自動生成の掲示板サービスから始まった。「誰でも使える“掲示板”があったらいいよね」というマーケットニーズから生まれた同サービスは好評を博し、サービス開始1年後には10万人が利用していたという。
そして石川氏はセカンドライフでもマーケットニーズに耳を傾け、セカンドライフ内での「施工」「運用」を大幅に効率化するツールを作り上げた。

それが「アイランド・ビルダー」だ。
アイランド・ビルダーと同社の今後の動きについて、代表取締役社長の石川智之氏に話を聞いた。
ティーカップ・コミュニケーションは5月28~30日に開催される「http://virtualworld-conference-expo.net/」にも出展している。29日のカンファレンスでは石川氏の講演も行われる予定だ。
(文中敬称略)
―― アイランド・ビルダーの開発背景を教えてください。

代表取締役社長の石川智之氏
石川「これまでセカンドライフのクリエイターの多くはデザインと制作の両方を行っていました。ただ、これは(現実世界でいう)設計と施工が混ざっているのと同じ状況です。実際には部屋数の多いマンションや、巨大な球体などの施工は繰り返し作業も場合も多く、クリエイターが本来発揮すべきクリエイティブ以外にもリソースが多くかかっていました。
こうした繰り返しの施工を自動化しようというツールが『アイランド・ビルダー』です。」
―― 具体的にはどういった利点があるのでしょうか。
石川「利用企業にとっても施工にかかる納期とコストを短縮することができます。特に大規模ソリューションで力を発揮します。同時に、クリエイターの方がよりクリエイティブにリソースを使えるようになることで、質的な向上も図れるようになります。」
―― 実際にどれくらいの時間で施工できるのですか。
石川「実績のひとつとして、(ショッピングモールなどを展開する)東京ZERO番地のユーザー向けマンションがあります。ひとつのSIM(セカンドライフ内の区画単位。256m四方の土地に相当する)で544部屋ほどあるんですが、だいたい30分ほどで完了しました。また、ビルドに必要なマスターデータはエクセルで編集することができます。これをもとにセカンドライフ内にインポートして組み立てるイメージです。また、建物の施工だけでなく、土地の自動造成も可能です。」
―― 相当早いですね。人手ではとてもできない。ただ、それほど部屋数があるとSIM全体でかなり処理が重くなりそうですね。
石川「そこで負荷を軽減する仕組みもあります。例えば、ユーザーは自分の部屋に家具を置くことができるのですが、ユーザーが部屋にいない時は自動的に『しまう』ようになっています。そうすることでSIMにあるアイテム数を減らし、全体の負荷を軽減しています。しかも、しまった時の家具の位置や色などはちゃんと覚えていて、ユーザーが部屋にやってくるとその通りに並べなおすようになっています。」
―― すごいですね。セカンドライフ内の施工の自動化以外ではどういったことができるのでしょうか。
石川「大規模なものを作るということは、それを利用する多くのユーザーとも関わることになるので、運用の手間も増えます。アイランド・ビルダーは(セカンドライフ内の挙動を制御するスクリプト言語である)LSLだけでできているのではなく、(セカンドライフの外にある)Webインタフェースとも連携していて、このWebインタフェースを通して運用を自動化しています。先ほどのマンションの例では入室管理などもWebから行うことが可能です。
アイランド・ビルダーは単体のツールとして提供しているのではなく、当社のソリューションで社内ツールとして活用している段階ですが、今後のバージョンではツールとしての提供も予定しています。
様々なご要望をいただきながら、日々バージョンアップしています。」
―― 御社として、こうしたツールを利用して今後どういった展開を考えていますでしょうか。

石川「アライアンスを組める企業との提携を進めて、共同提案していきたいですね。企画・デザインを行う企業は多くありますが、当社は構築(施工)と運用管理を得意としています。特に運用管理にはすでに掲示板やブログサービスに対して365日運用サポートを行うインフラがあるので、これを生かすことでリーズナブルなプライスを実現できるのです。
また、当社は30,40代のPCユーザー多くを占める大規模なコミュニティーを持っているので、ここからのトラフィックの提供もあります。アライアンスを組むことで、ユーザーにサービスアナウンスを行う際にも『ティーカップの新サービス』としてアナウンスできるので、効率的な誘導も可能になります。
こうした多くのユーザーを誘導し、運用管理を行ってきたノウハウを活かしていきたいですね。」
―― ITリテラシの高い魅力的なユーザー層ですね。期待しています。
本日はどうもありがとうございました。

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