インタビュー バーチャルワールド最前線

リンデンラボの技術責任者イアン・ウィルクス氏が語る「あるメッセージ」の真相【後編】

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(前編から続く)
―― セカンドライフのサーバー自身がオープンソースになるという話が以前からありますが、これは実現するのでしょうか。するとしたらいつ頃でしょうか。
イアン「これは多くの方から質問をいただくのですが、時期については『いずれ』とお話しています。


それはすぐに起こるという意味ではありませんし、おそらくそれが起こるときは、(ソースコードが公開されるということ)それ自体はあまり重要視されない時期になると思います。ご存じのようにOpen Simの動きはうまくいっていて、リンデンラボがソースコードをリリースする必要性が少なくなってきています。ですので、どのようにソースを提供するかなどもその時になってみないとわかりません。今はその時期ではないということです。」
―― 仮にオープンなグリッドとセカンドライフのグリッドをつなげようとした場合、どういった技術的課題が考えられるでしょうか。
イアン「コンピュータ・サイエンスの教授はそうした質問に対する答えとして、いつも『それはプログラミングのほんの小さな部分である』と答えます。つまり、可能性はあります。ただ、システムが異なる部分が多いので『今』ではないですが。
とはいえ、実際に、次世代のアーキテクチャーを検討しているグループではそうした共通のプラットフォームについても考えています。先ほど、Open Simコミュニティが技術的なテストケースとしても機能するだろうということをお話ししましたが、この件についてもまずはそうした場で検証されることになると思います。」
―― 昨年、IBM等と共同でバーチャルワールドの標準技術の開発に取り組むと発表されました。そのうちのひとつに、異なるバーチャルワールド間を行き来できる共通アバターの技術開発も挙げられていました。非常に興味深いチャレンジだと思うのですが、現在の状況はどうでしょうか。
イアン「明確なお答えはできないと思うのですが、徐々に開発されていく方向です。同じIDやアバター名を異なるバーチャルワールドで共通に使えるようにする仕組みを、少ない項目から徐々に増やしながら広げていく形になると思いますが、具体的にどういった実装になるかはまだわかりません。
アイデアとしてはありますが、アバターの持つすべてのコンテンツやインベントリ(持ち物)などをセカンドライフから他のバーチャルワールドに持ち出すというのは現在のところ非常に難しいので長い時間がかかると思います。
初期の段階ではセカンドライフからOpen Simへの移動、もしくはコンバートといった形で実現されるでしょう。そうしたことが近々起こるというわけではないと思いますが、今も多くのチャレンジングな取り組みが行われています。」
―― 先日の講演ではサーバーのシステム構成をシンプルにしていく取り組みについてもお話しされていましたが、シンプルになることでサーバー運用コストが下がり、結果的にSIMの料金が安くなることはありますでしょうか。
実は個人的にSIMをひとつ持っているもので・・・。

イアン「(システム構成をシンプルにしてメンテナンス性を上げるなど)アーキテクチャーの向上は重要な部分ではありますが、運用コストの面でいえば最終的に大きな影響にはならないのです。その代わり、システムのマネージメントが容易になるので、それ以外のサービス改善に時間を使えるようになります。いただいたSIM料金はそうしたサービス改善にきちんとあてられていますので安心してください(笑)」
【単独インタビュー】リンデンラボの技術責任者イアン・ウィルクス氏が語る「あるメッセージ」の真相
―― わかりました(笑)よろしくお願いします。ところで、日本のバーチャルワールドサービスでなにかご存じのものはありますでしょうか。
イアン「ニュースなどで知る機会はありますが、詳しくは知りません。なかなかすべてをフォローできないのです。おそらく(ビジネス担当バイス・プレジデントの)ジンス・ユンや、ここにいる(日本担当の土居)純のほうが知っていると思います。
もちろん、他のバーチャルワールドのことを知るのは非常に興味深いことです。どういったケースがうまくいっているのか、うまくいってないとすればそれはなぜかなどについて考えることができます。そして、最終的には異なるバーチャルワールドが協力していければいいですね。
―― 最後に、ずっと気になっていたことがあるのですが、もしご存じであれば聞きたいことがあります。
イアン「ええ、どうぞ」
―― セカンドライフのヘルプメニューにある「Second Lifeについて」をみると、テキストの最後に以前こんなメッセージが出ていました。
【単独インタビュー】リンデンラボの技術責任者イアン・ウィルクス氏が語る「あるメッセージ」の真相
昨年のある時期、セカンドライフを立ち上げ「Second Lifeについて」を見ると、
【単独インタビュー】リンデンラボの技術責任者イアン・ウィルクス氏が語る「あるメッセージ」の真相
こんなメッセージが。
―― その後、スティーブさんは休みをとれたんでしょうか?
イアン「(笑)。ええ、ニュージーランドに長期休暇に出かけましたよ(笑)。旅行先から山登りやスキューバダイビングや、ハイキングなどの写真を送ってきてくれました。」
―― それはよかったです。安心しました(笑)。あと、そのメッセージなのですが、現在はこうなっています。
【単独インタビュー】リンデンラボの技術責任者イアン・ウィルクス氏が語る「あるメッセージ」の真相
現在のメッセージ
―― これはグラハム・ベルの言葉ですね。どなたのメッセージなのでしょうか。
(編集注:電話を発明したグラハム・ベルが最初に電話に向かって話した言葉とされている)
イアン「たぶん、(ボイスチャットを担当する)ボイスチームからのものです。ひょっとするとボイスチャット機能が実装された時に初めて伝えた言葉なのかもしれませんね(笑)」
土居「そう書いてもらってもいいですよ(笑)」
【単独インタビュー】リンデンラボの技術責任者イアン・ウィルクス氏が語る「あるメッセージ」の真相
―― とてもいいエピソードを聞かせてもらいました。
あと、日本語版とドイツ語版は「ワトソン君、~」なのですが、英語版は「Happiness is a warm puppy. -- Charles M. Schulz」(編集注:スヌーピーの絵本のタイトル)でした。これはどなたかがスヌーピーのファンなのでしょうか。

イアン「うーん、これはわからないですね…。開発チームも大きくなって、今は250人くらいいるもので。」
―― 残念です…。これからもメッセージを楽しみにしています。
今日はありがとうございました。

リンデンラボの技術責任者イアン・ウィルクス氏が語る「あるメッセージ」の真相
3月15日行われた情報処理学会全国大会では同氏の講演がセカンドライフ内でも中継された。
関連記事:
【レポート】リンデンラボの技術責任者が語るSecond Lifeの技術的問題解決と技術革新への挑戦
http://www.secondtimes.net/news/japan/20080312_ianwilkes.html

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