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【OGC2008レポート】セカンドライフを教育にどう活用するか?ソウル中央大学の試み

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”セカンドライフ参入”と聞くとついつい企業を思い浮かべてしまうが、最近では企業だけでなく大学などの教育機関も数多くセカンドライフに参入してきている。教育にセカンドライフは有効か?オンラインゲーム研究の第一人者でありソウル中央大学の教授でもある魏 晶玄(ウィ・ジョヒン)教授が実際に授業にセカンドライフを利用した例を語った。

【OGC2008レポート】セカンドライフを教育にどう活用するか?ソウル中央大学の試み
魏教授は「セカンドライフは自由過ぎてアジア人にはあまり向いていない。アジア人は管理されることに慣れており、特に韓国人は予め整備されたオンラインゲームに親しんでいるのでセカンドライフをプレイするのは本当に大変」と分析しながらも、セカンドライフに存在する仮想経済に着目、大学のゼミの授業で生徒たちにセカンドライフ内でビジネスをやらせるという試みを行ったという。そして授業を始める際、生徒たちをいくつかのチームに分け、「韓国人相手は禁止。外国人を相手にビジネスをすること」という制限を敢えて設け、その売り上げ額で授業の成績を評価したとのこと。
教授は「最初は全てのチームが失敗した。彼らにはコンテンツを作る能力も無ければ英語も話せずコミュニケーションが上手くできない。しかし失敗しながら試行錯誤し、トライ&エラーで利益を上げる方法を学んでいった」と語り、仮想世界と言えどリアル社会と同じようにビジネスの世界は甘くないという現実を指摘しつつ、”シミュレーション”の場としてのセカンドライフの有用性を語った。尚、この授業中に日本人ユーザーが生徒達が製作した作品を購入したらしく、それで生徒達は随分と勇気づけられたという。
【OGC2008レポート】セカンドライフを教育にどう活用するか?ソウル中央大学の試み
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また、教授は欧米で一般的に行われている「セカンドライフ内講義」も試してみたそうだが、セカンドライフに不慣れな生徒を着席させ講義を聞かせる状態にするだけで10分もかかり、これなら現実の講義の方が良いと思ったとのこと。「現実の授業に比べるとセカンドライフ内講義は表情も分からないしアバターのアクションも乏しい。生徒はただPCの画面を見ながら話を聞くだけの状態なので、要点も分かりづらく面白くもない。」と、現状のセカンドライフの活用の仕方の限界について語った。
そして最後に教授は「セカンドラフは3Dグラフィックだから面白いのではなく、仮想世界=3D空間と考えるのも間違い。例えばオンラインゲームの『メイプルストーリー』は2Dグラフィックだがコミュニティが発達しとても人気がある。”面白さ”に2Dか3Dかは関係ない」と語り、”見た目”に惑わされないコミュニティ形成やコンテンツ制作が必要である点を解説。セカンドライフが今後も発展していくには、企業が製作した綺麗な建物や島ではなく「分かりやすい面白さ」が必要であり、さらに簡単に参加できるシステムも必要であると分析し講演を締めくくった。

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