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【OGC2008レポート】「e-ラーニングより学習効果が高いゲームを」日本で唯一のシリアスゲームメーカー・SGラボの取り組み

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近年、欧米を中心に「娯楽」目的だけにゲームを利用するのではなく、問題を解決したりシミュレーションを行ったり、学習や訓練にゲームを利用する、所謂「シリアスゲーム」についての研究が活発になっている。つい最近も韓国とイギリスの団体がこのシリアスゲームの発展を目的とした協定を締結した
「シリアスゲーム」とはその名のとおり「真面目なゲーム」。しかしまだ日本ではその存在をあまり知られておらず定義もあいまいだ。
今回のOGC2008では、日本国内で唯一のシリアスゲーム専門会社、株式会社SGラボの代表取締役社長の前田徹哉氏が「新しい学びの形をゲームから=「シリアスゲーム専業メーカー『SGラボ』の戦略」=」と題した講演を行い、同社の取り組みについて解説した。

【OGC2008レポート】「e-ラーニングより学習効果が高いゲームを」日本で唯一のシリアスゲームメーカー・SGラボの取り組み
株式会社SGラボは、2006年にスクウェア・エニックスと学習研究社が共同出資して設立された日本で唯一のシリアスゲーム専業メーカー。
前田氏はまずシリアスゲームを「特定の目的を持ったゲーム」と定義。今までの娯楽用のゲームの開発ノウハウを取り入れることにより、効率的な学習効果が得られると説明した。アメリカでは陸軍の新兵徴兵にもシリアスゲームが活用されているという。また日本ではDSを授業に取り入れて高い成果を上げた中学・高校の例があり、これも一つのシリアスゲームと言えるだろう。
「学習」という意味ではe-ラーニングと似ていなくもないが、前田氏は「会社に言われて嫌々やらされているのでは面白くないし覚えることもできない。その点ゲームは”クリアすること”がプレイヤーの目標となり達成感も味わえる。特にロールプレイングの場合はキャラクターに自己投影するので飽きにくい。このようにインタラクティブ性の強いゲームは学習効果が高い」とその違いを解説した。
【OGC2008レポート】「e-ラーニングより学習効果が高いゲームを」日本で唯一のシリアスゲームメーカー・SGラボの取り組み
講演では同社がこれまで開発してきた様々なシリアスゲームも紹介された。環境意識を高める「木エコ」(財団法人日本木材総合情報センター)や複雑な医療機器の扱い方を学習する「人工心肺の安全な操作」(東京女子医科大学心臓血管外科)、焼酎の知識が学べる「The Shochu Bar」(蒸留酒酒造組合)など多種多様なシリアスゲームがあり、乳幼児の4段階の発達段階に合わせて事故のケーススタディと対策方法を学ぶことができる東京都の「見つけて防ごう!子供にとっての身近な危険~乳幼児期の事故防止学習ソフト」では、リアルさを追求しつつも残酷になりすぎないようギリギリのラインを追求、これまでのゲーム製作で培ってきた技術を生かし、親しみやすく飽きない内容のゲームに仕上げたという。
【OGC2008レポート】「e-ラーニングより学習効果が高いゲームを」日本で唯一のシリアスゲームメーカー・SGラボの取り組み
またサントリーの「ウーロン茶物語~美味しいお茶を求めて~」は、”脱出ゲーム”の手法を使ったアドベンチャーゲームになっており、ゲームをしながらウーロン茶の製法やお茶の入れ方、茶器の使用法などを知ることができるようになっている。前田氏曰く「今の日本人でウーロン茶を知らないという人はいない。サントリーは日本のウーロン茶メーカーの草分け的存在だが、現在は競合他社も増えている。なのでゲームを通してウーロン茶そのものの総合的な知識を深めてもらうことによりブランディングにつなげていく」と同ゲームの目的を解説した。
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同社の現在の主なクライアントは官公庁や企業で、教育や訓練を目的とした「B2B」、広報や宣伝を目的とした「B2B2C」、エンドユーザー向けの知力向上を目的とした「B2C」などのゲームを提供している。広報・宣伝用のゲームは「アドバゲーム」とも言うが、現時点では同社ではこれらも含めて「シリアスゲーム」と考えているのだという。尚、今後はPCベースだけでなくDS向けや携帯電話向けにも取り組んでいくとのこと。

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