2008年バーチャルワールドの展望を語る インタビュー

第3回「インタラクティブ・エージェンシー」第1部 アイ・エム・ジェイ 鎌谷栄志氏 / 黒川大輔氏 / いせやおやじ氏

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2007年はセカンドライフをはじめとしたバーチャルワールドへの企業参入が続いた年だった。こうした企業参入は自社のみで行われる場合もあるが、参入をサポートするインタラクティブ・エージェンシーとともに行われる場合も多い。
第3回はこのインタラクティブ・エージェンシー業界をとりあげる。
テレビ業界の回で紹介したテレビ東京「テレトロ祭り」を手掛けたのが株式会社アイ・エム・ジェイだ。Web制作で実績を持つ同社は3Dの分野でも着実にノウハウを積み上げてきた。「2008年は我慢する時期」(鎌谷氏)としたうえで、「(3Dインターネットが)この先、5年、10年で当たり前になったときに何をつかんでいるか」と問う同社。「我慢」の先に描く未来とはなんだろうか。三氏に語ってもらった。

【特集:2008年バーチャルワールドの展望を語る!】第3回「インタラクティブ・エージェンシー」第1部 アイ・エム・ジェイ 鎌谷栄志氏 / 黒川大輔氏 / いせやおやじ氏
三井物産株式会社 情報産業本部 鎌谷栄志氏(テレトロ祭り実施時期にIMJに出向)

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株式会社アイ・エム・ジェイ クロスメディアソリューション事業部 リーダー 黒川大輔氏

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居酒屋「いせや」 いせやおやじ氏

(文中敬称略)
―― アイ・エム・ジェイ(IMJ)は今年、テレビ東京のテレトロ祭りをサポートするなど、いちはやくバーチャルワールドへの取り組みを進めてきました。その背景を教えてください。
鎌谷「かつて1994年ごろ日本のインターネットが元年を迎えました。3Dインターネットはそれから13年ずれて今年が元年だったと思います。IMJはこの間に国内のWeb制作において最大手、いわばチャンピオン級となったわけですが、Webの2D
の分野でチャンピオン級ならば、3Dでもチャンピオン級になろう、と。
そうして情報収集していく中で勉強会を週1で始め、その後テレビ東京さんから
相談があって、というのが経緯ですね。
よく言われますが、今の日本のバーチャルワールドは94年か95年のインターネット元年ととてもよく似ています。そういう意味で今は、トライアル、情報収集の時期だと認識しています。その環境の中でローリスクハイリターンを実現するにはどうすればよいか考える必要がありました。そうして企画したのが『テレトロ祭り』です。」

―― テレビ東京様でもお聞きしたのですが、トライアルの結果、かなりの量のレポートができましたね。
鎌谷「テレトロ祭りを実施することでかなり効率的にノウハウを得ることができ、その成果として共同でレポートを発表させていただきました。発表した部分は一部で、重要な肝となるデータは公開できず恐縮ですが・・・。

―― テレトロ祭りではコミュニティ形成もひとつの成果ですね。
いせやおやじ「弊社設立初年度にインターネットでの3Dインタフェースに取り組む機会があったんです。なので、現在は2世代目という感覚ですね。そうしたこともあり、建物などのハコモノを作るだけでは不十分というのはわかっていました。ただ、トライアルの部分が大きかったので、コミュニティについては当初予定に入っておらず、付加価値サービスとして(テレトロ祭りでのコミュニティの中心となった居酒屋である)『いせや』をやりました。」
黒川「私はネットワークゲームをやっていた経験もあって、コミュニティの必要性も感じていました。ただ、コミュニティ運営というのはかなり大変なんで、誰がやるのかなあと思っていたらうちのいせやおやじが率先してやってくれた(笑)。
理想としてはそうしたコミュニティが複数できることを構想していたのですが、期間限定のイベントということもあり、そこまではできませんでしたね。他にも構想はたくさんあって全部企画にまとめていたのですが、ほとんど保留になってしまいました(笑)」

―― 実際に取り組んだことで感じられたことも多そうですね。
黒川「いろいろ見方はあると思うんですが、日本のマーケットと海外マーケットの違いもかなり感じました。セカンドライフとの接し方もかなり異なりますね。」
いせやおやじ「海外ではセカンドライフのプロフィール欄に(現実である)ファーストライフの紹介も結構書いてありますよね。ボイスチャットもバリバリつかう。対して、日本人はセカンドライフを現実の生活とは別物ととらえる傾向がある気がします。」

―― 2008年の展望を教えてください。
鎌谷「これもよくいわれていますが、今は(物事が普及する際に描くという)『ハイプカーブ』のちょうど谷に向かっているところといわれます。その意味では2008年は我慢する時期と認識しています。なにもしないというわけではなく、2007年はPRを目的として十分に成果を上げたのに対し、もしかしたら2008年は別の目的を打ち立て、その時点の環境でできることをしていきたいですね。」
黒川「新しもの好きな人たちにある程度普及した後、一般に普及するまでにある『間』、キャズムを今は超えられるかどうかなのだと思います。そのためにはバーチャルワールドの活用によって得られるベネフィットがこれを超えられるか。これまでの活用は既存サービスの延長でしかないのですが、特徴をうまくつかった活用の仕方ができればいいと思いますね。」
鎌谷「3Dでないとできないコミュニケーションの形はありますね。チャット、掲示板ではできない『体験』ができるというのは強い。そうした特徴を生かす形としては企業の遠隔会議や新しい形の教育のシステムなどに使われる例がでてくるかもしれません。
ただ、キャズムを超えるためのキーはひょっとするとハードウエアなのかもしれません。グラフィックボードとか、3D空間はまだ一般的PCでもハードル高いですよねひょっとすると、理想的なプラットフォームはPCではなくてゲーム機という気もしますし。」
黒川「でも、やはりゲーム機だと既存の市場を超えるイメージはないですね。新たに市場を作る感じではない。」

―― 今後におけるバーチャルワールドのいい活用の形は見えてきたでしょうか。
鎌谷「現在のセカンドライフのユーザー数はメディアとして見た場合、まだまだ小さいので、外の媒体力を生かすことが必要ですね。」
黒川「目的意識をはっきりさせて、その目的を成就できるかをベンチマークにして判断するべきですね。3Dでやる必要があるなら3Dで。参入する側もそれを考えなければ。」
鎌谷「あと、3Dの活用は絶対になくなりませんから、この先、5年、10年で当たり前になったときに何をつかんでいるか、それを考えながら取り組んでいきたいと思っています。
実はテレトロ祭りを手掛けたことで、100件以上のお問い合わせをいただいたのですが、ほぼお断りしているんです。それはそれらのお話がダメというわけではなく、現在、私たちがオススメする3Dを活用すべきスタンスとはちょっと違うのかな、と。お客様には現状から背伸びをせずに取り組める範囲で提案しています。」
―― 地に足の着いた活用がカギになりそうですね。ありがとうございました!

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