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【レポート】東京と大阪をセカンドライフで接続!『Second Life Japan Conference2007』開催

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セカンドライフ(以下SL)と3D仮想空間(メタバース)の専門家が今年のSL動向を振り返り、来年の展望を考える『Second Life Japan Conference2007』が10月13日にベルサール九段で開催された。
カンファレンスの主催である株式会社スパイラルグロース代表取締役・豊田氏から開催の挨拶が述べられたあと、第1部として株式会社パワービジョン代表取締役・山田氏からSLに関する国内外のユーザー割合や経済データ、またSL進出企業の評価と各メタバースの特徴について説明された。
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山田氏によると最近になってSLの日本人ユーザー数が世界第2位まで上昇したのは、日本語版のリリースに加えて、高スペックなインフラやPCの普及率がある程度高くなったこと、またリアル世界での物価水準が日本は他国と比べて高いため、SL内の物価であればユーザーがお小遣い感覚で遊べるということも理由としてあげられるとした。
また広告という意味でSLの効果測定が今までのWeb媒体と同じようにされていることに対しては、「滞在時間が圧倒的に長いSLと、一瞬でも訪問すれば1PVとカウントされるWebとは根本的に異なるものである」として、「単純にPVの結果だけでは測れないのではないか」と語った。
第2部ではSL参入支援会社の事例発表ということで、株式会社モバイルファクトリー事業企画本部の金子氏、株式会社デジタルマーケットの執行役員兼セカンドライフ事業部長の鶴田氏、株式会社ウェブスタージャパン執行役員の木村氏が、それぞれ自社の事例を絡めて講演した。
その中で印象的だったのは3社ともユーザーの視点に立って事業を進めていることだ。
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モバイルファクトリー金子氏
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デジタルマーケット鶴田氏
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ウェブスタージャパン木村氏
「SLは媒体のひとつに過ぎず、テレビ、雑誌と同じくひとつのチャネルに過ぎない」と語るのは株式会社モバイルファクトリーの金子氏。
金子氏はクライアントから「SLでECサイトを作りたい」と相談されても、本当にニーズがあるのか、Web上でのECサイトと何が違うのか冷静に判断するという。
「あくまでもセカンドライフはコミュニケーションツール。ユーザーの視点に立った新しいサービスが必要です」金子氏はそう締めくくった。
同社はユーザーの視点に立った試みのひとつとして、紙に印刷したリンデンドル紙幣のサービスを検討している。「リンデンドルを実際に手に取ってみたい」と思うユーザー心理に添った遊び心あるサービスとして人気を集めそうだ。
株式会社デジタルマーケットの鶴田氏は自身が1ユーザーとしてSLを楽しんで、バーチャルワールドの何が魅力的なのかリサーチし続けていると語った。
同社は参入事例からも想像できるようにSLとリアル世界の融合を多く実現している。
例えば誰かのコンサートを見に行ったあと今日のコンサートはこうだったねとファン同士で語り合うため会場近くの喫茶店に入る。話は尽きなくてもっと話したいけど終電があるからと帰宅。そういったファンが家に帰ってからPCをつないでSL内でさっきの話の続きをする。
同社が運営するSL内の「office48」ではそんなファン同士の姿が既に見られるという。バーチャルとリアルの融合をメインテーマにエンターテイメントに特化した世界を実現している同社は、バーチャルとリアルの融合を更に進めるためにSL内にラジオ局の設立も考えているという。
ユーザーに「ちょっとおでかけ」という軽い感じでSLを利用してもらいたいと株式会社ウェブスタージャパンの木村氏は語る。
同社はリアル世界で活躍する声優をSL内に「レポーター」として派遣したり、同じくリアル世界で活躍するタレントの「アバタータレント事務所」をSL内にオープンして、バーチャルとリアルを融合させている。
そういったSL内での出来事を同社は運営サイトで動画として配信している。SL内の情報をSLアカウントを持っていないユーザーに届けられることは、未来のユーザーにバーチャルワールドを少しでも身近に感じさせ、最終的にはバーチャルワールドへ「ちょっとおでかけ」という感覚が根付くる第一歩なのかもしれない。
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第3部ではフリージャーナリストとして主にIT分野を取材している佐々木俊尚氏による特別講演が行われた。
SLに懐疑的といわれる佐々木氏だが、この講演ではSLの可能性について「イントラネットの延長線にあるグループウェアの新たな型」としてSLの利用を示唆した。
セキュリティーの懸念はあるものの、テレビ会議などと比べて設定が不要であるため参加者がログインしやすく、誰が参加しているかも一目瞭然であり、また社外の人間も参加が可能である会議は、使い勝手から考えても今後の利用が検討されるとのことだ。
また佐々木氏はGIS(地理情報システム)とメタバースが融合した場合、リアル世界の経度と緯度が正確なバーチャルワールドが完成され、現実世界と全く同じものが3Dで完成されれば、オブジェクトにインデックスをつけられるため、リアル空間をよりネット上で可視化できるようになると語った。そのことはバーチャルワールドでのビジネスチャンスが更に広がるのではないかと予想される。
最後に佐々木氏は先日のIBMとリンデンラボ社の提携について、電子マネーがポイントシステムで提携する現在の風潮と同じ方向性に進んでおり、バーチャルワールドのオープンプラットフォーム化を指摘した。
「Webの世界でも検索のGoogle、音楽のApple、販売のAmazonとプラットフォームを握ったものがビジネスを成功させている。SLがそこを目指すのであれば、ウェブブラウザーで動くこと、デザインツールのインターフェイスを改善しダイナミックなCGMを誰でも簡単に生み出せる仕掛けを作ることが重要だ。そしてリアルとネットのブリッジとなることがバーチャルワールドが求められているポジションである」と佐々木氏は締めくくった。
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第4部は株式会社メタインパクト取締役CMOの芳井氏をモデレーターに、株式会社イーブランド代表取締役・大石氏、そして前出の豊田氏、山田氏によるパネルディスカッションが行われた。
また、3氏の他に「SLなんば大阪」のSIMオーナーであるGyokuRin Dagger氏などが「セカンドライフ」内からボイスチャット機能を利用して参加した。
それは第3部で佐々木氏が可能性を示した、まさしく「SLを利用した会議」の実現であり、今後のSLの使い方として定着していくだろう。

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