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【NCC2007レポート】「ネットワーク・イノベーションのビジョン」

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【NCC2007レポート】「ネットワーク・イノベーションのビジョン」
伊藤穰一氏の挨拶に続いて「THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2007」1日目第1会場の最初のセッションとして、ソニーコンピュータサイエンス研究所取締役副所長の北野宏明氏による「ネットワーク・イノベーションのビジョン」の講演が行われた。
北野氏は、生態系や腸内バクテリアなどによって形成される生物的ネットワークと、インターネットなどの電子的ネットワークとの類似性を述べた。例えば、ネットワークの構成要素における多様性や冗長性は、そのネットワークの「robustness(ロバストネス、構造安定性)」にとって重要である、といった点があげられる。この考えを起点とし、北野氏は、病気の治療方法としてもっとも効果の高い特定の因子へ作用する薬を利用していたこれまでの考えとは異なる「Long-tail drugs」について語った。これは効果も大きいが副作用も大きい特定因子への働き掛けではなく、効果は小さいが副作用も小さい多数の因子へ働きかけることにより全体の症状を改善するという考えだ。同氏は「これは予想」としながらも、例えば漢方薬がこれに近いのではないか、とした。
この考えは仮想世界でいわれる課題についても当てはまる部分があるかもしれない。例えば、アダルトやギャンブルコンテンツは一部で望ましくない影響を与えてきたことも事実だが、これに対する規制が行き過ぎてしまうと、本来問題のない創造的活動も委縮してしまう危険性がある。こうした問題への対応として、直接規制するのではなく問題を分析し、周辺要素へ働きかけることによって問題のない方向へ持っていく手段もあるのではないか。現在行われている問題解決方法の是非とは別としても、これは今後の選択肢として大きな示唆となった。

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